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イスラム教徒になったら生活はどう変わった?

私がイスラム教徒になったのは、2017年11月のことです。

その前と後でどのように生活が変わったのか、イスラム教徒としての生活はどのようなものか、いまだ日本には馴染みのないイスラムの生活を少し書かせてもらいたいと思います。

 

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 ブルーモスク

 

イスラム教ってなに?

 まずはさっと簡単に、イスラム教のことを。。。

 

イスラム教とは、唯一絶対の神アッラーを信仰して、最後の預言者ムハンマドを通して神が教えを示した聖典クルアーンの教えを信じる宗教です。

 

最後の預言者としているとおり、預言者ムハンマド以前にもいたとしています。最初の預言者は、あの有名な最初の人間「アダム」。そのほかにも、ユダヤ教の「モーセ」、キリスト教の「エス」などもクルアーンには登場しています。ほかの宗教じゃないの?って思いますけど、そうした歴代の預言者の存在を認めつつ、最後の預言者ムハンマドが広めたのが、イスラム教なのです。

 

イスラム教徒(ムスリム)の生活とは?

イスラム教徒のことを「ムスリム」といいます。

イスラムにおける大切な教えはいろいろありますが、その代表とも言えるものが、

 

「六信五行」

 

です。

それぞれの意味は次の通り。

 

六信・・・その実在を必ず信じなければいけないもの

五行・・・正しい信仰の実践として、義務付けられているもの

 これを信じ正しく行うことが、良きイスラム教徒、ムスリムということになります。

 

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が、しかしこれを全て日常生活の中で行うことは、とても難しいのです。

 

六信については、これらをよく勉強して理解して、心に落とし込むことが出来ればあるいはすべて信じることができるのではないでしょうか。

日本人の感覚ですと、神様なんているの?となるのは仕方のないことだと思います。

ですが我々は、初詣で神社に行き、賽銭を投げ入れて神様に手を合わせてお祈りしたことがありますよね。

または、受験の合格発表を待つ時に、神様仏様どうか合格していますようにお願いします!!なんて祈ったことはないですか?

またお葬式はお寺で坊様にお経を読んでもらい、無事に成仏して極楽浄土に行けるようにお祈りしますね。

はたまた結婚式はキリスト教の教会で神父様に立ち会っていただいたり。。。

 

私たちの普段の生活の中にもいたるところに根付いている宗教と神様の存在

ジブリアニメにもいろいろな神様が出てきますが、自然に受け入れていますよね。

 

心の底から信じることが、すぐにはできないとしても、そうした日頃の心の持ちようと考え方次第で、いつか心に神が宿る、そんな風に私は考えています。

 

それから5行。

まず、1日5回の礼拝が義務付けられています。

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これ、日本で普通に暮らしていたら、まず出来ないです。

私は会社勤めの人間ですが、勤務中に抜けだしてひとり礼拝をするというのは、とてもじゃないけど無理ですね。

できる範囲でする、というスタンスの人が多いのではないでしょうか。

 

そして巡礼。

これは本場のイスラム圏の人たちでも、一生のうちに一度は行くべきもの、という位置づけであって、履行できなかったとしても非難の対象とはなりません。なにしろ、13日間の巡礼は過酷を極める行程で、費用もおよそ5,000~10,000ドルと庶民には簡単に手の届かないものになっているため、体力的、経済的な余裕がなければ行けません。

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それでも年間300万人以上が巡礼に赴いているというのですから、驚きです。

 

生活の中での実践

そんな六信五行を知りつつも、まずはできる範囲でやってみよう、結局はやれることしかやれない、一番大切なのは神を信じる心だ!

ということで、改宗後の生活はそこまで大きく変わることはありませんでした。

その中でも1番気をつけているのが食生活です。

最初の頃は食品の成分表示ラベルをじっくり入念に調べるところから始まりました

 

あ、これにも入ってる、なんでこれにゼラチン入ってるの?!なんで鶏肉入ってるの?!これは大丈夫だろうと思っても意外と禁止されているものが入っている。

そんな驚きが待っていました。

しかし、ある程度それを繰り返しているうちに、これはたぶん食べられるな、これは食べられないな、という感覚が身についてきます。

パッと見て、なんとなく判断できる。不安ならラベルで確認する。

そんな一連の動作が自然とできるようになるまで、そこまで時間はかかりませんでした。

むしろ、どんな食品にどれだけ体に悪そうな添加物が大量に投入されているか、ということに驚きました。

 

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また、自分一人で食べる分には、自分が気をつければいいだけの話ですが、他人と食事する時が困りものです。

焼肉屋なんてとても行けないし、普通のレストランにだって食べられるものがあるかどうか。

仕事のおつきあいで取引先と食事することもあるし、どうするか。

まずは自分がイスラム教に改宗したということを、この人には伝えておこうというキーマンに伝えるところから始めました。

 

私が改宗したころには、まだテロ組織の活動が活発で、イスラム=危険、という認識を持っている人がまわりにはたくさんいました。

そんな状況で、しれっと、イスラム教徒になりました、と他人に伝えることは、やはり不安です。

 

その人の性格や言動から考えて、この人なら理解があるな、と思える時には伝えるようにして、ちょっとこの人には言えないな、と思う人には今でも伝えていません。

そうして、ある程度理解がある人との食事では、行くお店も選べますし、お互いが食べたいものを気持ちよく食べることができるようになります。

 

お酒も以前は飲んでいましたが、改宗後は全く飲まなくなりました

人並みには飲む方だったので、それが禁止されるとなるとやはり不安でしたが、宗教上禁止されているんだ、という理性がある限りは今後も飲むことはないと思います。

ビジネスシーンでの酒の席のお付き合いというのは結構ありますが、お酒を飲まないことに社会的に寛容になりつつある雰囲気にも助けられている気もします。

おかげで体の調子も良くなりましたし、お酒にかかるお金もなくなりました

 

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まとめ

世界3大宗教と言われ、圧倒的な信仰者数を擁し、その教えは実に広範囲に渡ります。

聖典クルアーンの解釈は時代によって変化していますし、今でも学者たちが議論を交わしています。

ですがその根本にあるのは、幸せに生きる道を示すものです。

日本でムスリムとして生きていくのは、残念ながら、そこまで簡単ではありません。

敬虔であろうとすればするほど、どこかに無理が生じてしまうものです。

ですから、日常生活に無理のない範囲で、イスラムをできる限り実践していく。

そんな心構えこそ、きっと大事なのだと思います。